生配信トークイベント『伊礼彼方の部屋vol.15~井上芳雄×上川一哉×伊礼彼方~』――なんてすごいんだ！芸術家ボヘミアン達と自己紹介好きの貴族の真っ赤な狂宴――「坊やと呼ぶのはもう・・・」が、2024年8月2日（金）夜に開催されました。今回のゲストは帝国劇場で約1ケ月半にわたり上演、9月には大阪での公演が控えている『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』から、井上芳雄さんと上川一哉さん。さて、どんなとっておき話が飛び出したのでしょう。
はじめはみんな王子だった
『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』からクリスチャン役の井上芳雄さんと、トゥールーズ=ロートレック役の上川一哉さんをお迎えした15回目の伊礼彼方の部屋。この日、昼公演後に配信会場に駆け付けた井上さんと伊礼さんは、夏を感じる半袖＆ハーフパンツのセットアップスタイル。テンション高めで配信がスタートしました。冒頭は、上川さんの愛称について。「アッパー」と命名したのはミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター～北斗の拳～』共演時の伊礼さん。その由来は「上川=アッパーリバー」から。「でも全然浸透してないんです。呼んでくれているのは伊礼さんとあーやさん(平原綾香さん)くらいで」と上川さん。果たして、井上さんも今日から上川さんをアッパーと呼ぶことになるでしょうか？
つづいて3人の出会いについて。上川さんが上京後、初めて観たミュージカル作品は、井上さん主演の『シンデレラストーリー』、そしてお二人が実際に初めて会ったのは、上川さんが劇団四季在団時、ミュージカル『リトルマーメイド』で王子役を演じていた時だそうで、まさかの王子つながり。
「伊礼くんだって最初はなんちゃって王子やってたよね？」と、井上さんからのジャブに「誰がなんちゃってだ！」と速攻で返す伊礼さん、息ぴったり。『エリザベート』のルドルフなど、実はこれまでも井上さんと同じ役を演じてきたことがあるそうです。ここからしばらく「王子って(衣裳がカッチリしていたりするため)結構ツライよね」的トークに花が咲きました。
目がいくつあっても足りなくなること間違いなし
『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』は、観客の盛り上がりも評判のマッシュアップミュージカル。作品に関するココだけトークが続きます。例えば、二幕頭の「♪BACKSTAGE ROMANCE」、観客の熱狂が冷めない中、次のシーンへ移るまでの時間が長すぎると実はキャストからクレームが来ている？井上さん演じるクリスチャンは、メインで出ていないシーンでは、ラ・ショコラ（菅谷真理恵さん／鈴木瑛美子さん）と会話を楽しんでいる？
伊礼さん演じるデュークと、サティーン(望海風斗さん／平原綾香さん)とのささやき合いは、相手によって内容が全然違う?
上川さん演じるトゥールーズはあるシーンでノートに、実際に文字を書いているらしい？
など、「へぇ～、そうなんだー！」と気になるシーンがまた一気に増えそうです。
なかでもジドラーを演じる橋本さとしさんについてはエピソードてんこ盛り。「さとしさんを見るとふざけなきゃってスイッチが入っちゃうんだよね。もう、害が出てるよ(笑)」と井上さん。魅力いっぱいのキャラクター・ジドラーは、井上さんも伊礼さんも「チャンスがあるなら演じてみたい役」なのだそう。
今回の配信はオリンピック期間中だったこともあり、話題はスポーツ談義へ。気になる競技はチェックする派の上川さんと井上さんに対して、ほぼ見ていないという伊礼さん。3人のスポーツ歴はというと、自称「スポーツはそんなに好きじゃない」という井上さんはソフトボール、上川さんと伊礼さんはサッカーに夢中だったそう。話の流れで、「ミュージカル業界で運動会やりたくない？」という伊礼さんの発案に「やりたいですね」と乗り気の井上さん、上川さんはというと？「…………」
そんな井上さん、実は『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』の中でオリンピック期間中限定のとっておきの仕掛けがあったことも明かしてくれました。
スポーツ経験者も多いミュージカル業界での運動会、実現する日は来るのでしょうか。
意外だった!? 緊張のハナシ
長期間共演していても、意外と聞いたことがなかったこともクロストーク。上川さんからの「役に私生活が引っ張られることはあるか」という質問に、伊礼さんは「めちゃめちゃある。デュークを演じている時には、金持ちだと思い込んでる(ニヤリ)」と答えれば、井上さんは「ないかな」ときっぱり。
「本番中に歌詞や台詞が飛んだ時はどうする？」という問いには、「毎回緊張しますよ。慣れた頃に振りや歌詞が出てこない気がして心配になる」と話す井上さん。だから毎回必ず台詞と歌詞を本番前に一通りさらってから舞台に臨んでいるのだそう。これに2人も大きく頷き、上川さんは「出番の前は体を動かしていないと怖くなるからじっとしていない」といい、伊礼さんも「毎回怖いから復唱は欠かさない」といいます。共演者の動きが変わると覚えているはずのことが出てこなくなる時があるので、何があっても大丈夫なように稽古場であらゆるパターンを試してみるのだそう。
「俺が伊礼くんを好きなのは、いつもこんなに堂々としているのに、いざという時にちゃんと緊張しているところ。大胆さと繊細さがあるよね。繊細彼方もっと見たいよね」と井上さんがメッセージすると、だいぶ照れくさそうにする伊礼さんなのでした。「緊張しないっていう人も中にはいて、基本的にそういうのって感じ悪いよね、浦井健治とか甲斐翔真とか（笑）」とちょっとダークな井上節も炸裂。これには一同大爆笑です。
ソラミミ回避のムーランルージュ! ザ・ミュージカル
ミュージカル俳優として共通する部分も多い３人が次にテーマにしたのは、『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』の中の好きなシーンやセリフについて。「クリスチャンがサティ―ンと出会って、彼女の部屋で最初にする一連の会話が好き」という伊礼さんに「下ネタじゃないか」と高速ツッコミの井上さん。
「芳雄さんのAll You Need Is Love! が好きです」と笑顔で言う上川さんには、「言い方じゃん！」と続けて高速ツッコミ。
そんなお茶目で冷静な井上さんが「そういえば……、伊礼くんが歌っている曲の中でずっとわからない歌詞があるんだよ!!」と切り出します。デュークが歌う「♪SYMPATHY FOR THE DUKE」の中の歌詞の一部が「♪～～いい趣味で」だったことが明らかになると、井上さんと上川さんが声を揃えて「いい趣味で！！皆さん、わかってましたか？」と、スッキリのご様子。
すると今度は上川さんが「一幕ラストの芳雄さんの歌の歌詞でクエスチョン。「♪ELEPHANT LOVE MEDLEY」の中の歌詞の一部が「「♪誰かの降りて来いなんて～～」だと聞くと、「降りて来いか！「恋」かと思っていて」と、疑問がようやく解けて、またまたスッキリ。こんなレアな会話、なかなか聞けるものではありません。
この後も、MCがうまくできるようになるためにはどうすればいいかという上川さんからのクエスチョンに、井上さんや伊礼さんが経験談を伝えたり、これからやってみたい役や目指す場所について、途切れ知らずでトークは続きました。
最後はミュージカルをもっとメジャーに広めていくためにトライ出来そうなことを、企画会議。「やっぱりミュージカル俳優による運動会見たいよね」と伊礼さんが煽れば、「アッパーは魚が捌けるから料理番組もいいんじゃない？」など、実現出来そうなことも、出来なさそうなこともアイデアが出るわ出るわ。
「自分たちの特性を生かしつつ、アピールできることを考え続けなければいけないよね」とミュージカルの未来のための超前向きな井上さんの言葉で締めくくりました。
今回の配信タイトルには、「坊やと呼ぶのはもう・・・」とありましたが、井上さんは配信中に上川さんを「アッパー」と呼び慣れたよう。定着したか否かは、また次の機会に！
文・写真：栗原晶子
執筆者：栗原 晶子 エンタメ・整理収納ブレンダー/編集&ライター
舞台や映画関連のキャストインタビューや パンフレット編集に携わり、エンタメ愛を追求する日々。2021 年 10 月より人生に欠かせない エンタメと整理収納をブレンドする web マガジン「エンタラクティブライフ」を責任編集。 https://entameseiri.com/
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